渡辺三保子
人生の主 渡辺三保子

私は、敬愛する母を見送って以来、長く喪失感に悩まされており、頼れる人
の必要を強く感じておりました。また、その後、3人の身近な家族が相次い
で病気になりました。1年間、困難をのりきるため最善をつくしましたが、
何の解決、改善はみられませんでした。それで非常に疲れ、希望を失い、信
頼して相談できるかた、なぐさめを与えてくださるかたを心から必要として
おりました。
 ある日、そのような困難のさなかにあっても、数年前から通っていた月に
2度のバイブルクラス(聖書を読む会)の時間中だけは、なぜか心が落ち着
いていることにふと気づきました。バイブルクラスのリーダーのジムが、大
変タイミングよく、とある聖書の学びの本を送ってくださいました。
 2000年10月21日の夜、いただいた本の第1ページ目の詩を読みま
したおりに、私には、『主』とお呼びすべきかたがいらっしゃることを教え
られ、その衝撃的な真理を受け入れました。私の人生は、自分の努力や工夫
によってのみ生きるのではなくて、そのかたにゆだね、導かれて生きるべき
ものであるという真理にはじめて出会ったのです。その詩をご紹介します。

赤とんぼ

北風が吹き出し
霜おりる朝が
近いのを知っているのに
夕焼け空に安らかに飛ぶ
赤とんぼ

私もすべてを
主にまかせて
安らかに生きよう
水野源三


 翌月から、もっと神様のことを知りたい、神様に近づきたいと願って、教
会に通うようになりました。そして、私の人生は私が計画できるものではな
くて、神様がご計画なさるのだ、と信じ、2003年のイースター(イエス
・キリストの復活を祝う日)に、洗礼を受けさせていただきました。
  
  聖書の真理を受け入れて4年、洗礼を受けて2年ですが、大きくまた深
いめぐみを、自分でもどのくらいかまだはっきりわからないほどに、たくさ
んいただいています。その中から3つほど申し上げます。

1人でいる時間の変化
 以前の孤独感はうすれ、ともにいてくださるかたを身近に感じることので
きる、しずかな安らかな時間となっています。『なぜ自分がこの世にいるの
か』、『何のために自分は生きているのか』といった、長く解答を得られな
いままでいた人生の根元的な問題に、たしかな答えをいただき、しみじみ安
心し、ゆらぐことのない魂の土台を得た思いです。
 しばしば、主が今私に望んでおられるのは何だろうと、耳をすませて尋ね
ています。

価値観の変化
 正直、謙遜などの価値は、自分の基準によるのではなく、神様のみ前にお
ける正直、謙遜こそ尊いと思うようになりました。
 また、自然の美しさ、力強さ、あるいは繊細さの背後に、とても深い意味
がひそんでいることを知り、今まで見過ごしていたことにも感動する日々に
変えられています。

人間関係の変化
 趣味や気があう親しい友人という関係をこえて、キリストにあって、尊敬
と信頼にあたいする兄弟、美しく気品あふれる姉妹をゆたかに備えていただ
き、思いがけずとても裕福になった気持ちです。導かれ与えられた神の家族
ですから、親しさの中にも、礼節を忘れないよう心しています。
 また、夫と子供2人、さらには私と夫の兄弟姉妹は、神様から託されてい
るものであることを思うとき、よく失敗はしながらも、注意深く、大切に接
するべきものとなっています。